吃音支援への想い(Part1)私が言語聴覚士としてこの道を選んだ理由【第6回】
運命的な出会い
言語聴覚士の勉強をしていた学生時代、実習先で出会った吃音のある小学生の女の子。
彼女はとてもおとなしく、自分から話すことは多くありませんでした。
けれど、ことばにつまりながらも、一生懸命に伝えようとする姿はとても印象的でした。
───「本当は、もっと伝えたいことがあるのかもしれない」
そう感じたとき、私はふと考えました。
・もし、ことばがつまっても安心して話せる場所があったら?
・もし、早い段階で適切な支援が受けられたら?
・きっともっと自信を持って話せるのではないか?
この気づきが、吃音支援に進む大きな原点になりました。
早期介入の大切さ
その後、言語聴覚士として多くのお子さんと関わる中で、私は早い段階での環境づくりやサポートの重要性を強く感じるようになりました。
吃音は発症してから2〜3年以内に自然に軽くなることが多いのですが、その時期を過ぎても続く場合には、早めの専門的支援が勧められています。
なぜなら、支援が遅れると吃音が進みやすく、本人の「話すことへの不安」や「困り感」が大きくなってしまうからです。
吃音の「進展」とは
吃音の重症度は、どれくらい頻繁にことばが詰まるかではなく、お子さん自身がどれだけ困っているかが基準になります。
初期の吃音では、子ども自身があまり困っていないことも多いですが、成長とともに周囲の反応や自分の意識が変わることで、
・話すことが怖くなる
・「詰まるのは悪いこと」と感じてしまう
・なんとか流暢に話そうと頑張りすぎてしまう
といった負担が増え、結果として症状が強くなることがあります。
こうした「進展」を防ぐために、早期の環境調整や心理的サポートがとても大切なのです。
日本の吃音支援の現状
残念ながら、日本では吃音を専門的に診られる専門家がまだ少ないのが現状です。
・受診しても「様子を見ましょう」で終わってしまう
・詳しい説明が得られず、不安だけが残る
・社会には誤った思い込みや偏見も残っている
私が支援で大切にしていること
1.正しい知識をお伝えすること
吃音は「親の育て方」が原因ではありません。
遺伝的な要因が関わるという研究が進んでおり、保護者の方の責任ではないことを、丁寧にお伝えするようにしています。
2.早期の環境づくり
自然に軽くなるお子さんも多い一方、はっきりした予測は難しいため、早めの環境調整が大切です。
3.本人とご家族への心理的サポート
吃音は「ことば」だけの問題ではありません。
・お子さんの自己肯定感
・保護者の方の不安
・家族への影響
これらすべてに寄り添いながら支援を進めていきます。
エビデンスに基づいた支援を目指して
● 科学的根拠に基づく言語療法
● お子さんが安心して話せる環境づくり
● ご家庭全体へのサポート
これらを組み合わせながら、お子さん一人ひとりに合った支援を丁寧に届けたいと考えています。
あの日の女の子から学んだこと
学生時代に出会ったあの女の子は、今どうしているでしょうか。
きっと、自分らしく輝いていてほしいと願っています。
あの日、「この子の可能性を信じたい」と思った気持ちは、今も私の支援の原点です。
吃音のあるお子さんが、安心して自分のペースで話せるように。
そして、自分らしく成長していけるように。
これからも一人ひとりに寄り添いながら、支援を続けていきたいと思っています。
【一人のお子様に本気で向き合う、言語聴覚士の想い】
ことばの教室コロレが大切にしている理念や、吃音支援への原点については、トップページにてご覧いただけます。

