吃音支援への想い(Part2)子どもたちから教わった「話す楽しさ」【第6回】

子どもたちの「感じる力」の豊かさ

吃音のあるお子さんと関わっていると、いつも感じることがあります。
それは、「話す力」だけでなく、「感じる力」がとても豊かだということです。

・ことばが出にくくて、そっと黙ってしまう子
・急いで言おうとして苦しくなってしまう子
・笑われるのが怖くて、話すこと自体を避けてしまう子

お子さんたちは、それぞれの「困りごと」や「思い」を胸に抱えながら、毎日勇気を出して話そうとしています。

支援者としての私の役割

私は、ことばを「教える」人というより、その子の感じていることを丸ごと受け止める存在でありたいと思っています。

吃音のあるお子さんは、力を発揮できれば誰でも流暢に話せます。
ただ、安心できる環境ではないと、本来の力を出すことが難しくなるだけなのです。

つまり、お子さんたちは「話せない」のではなく、“ 安心して話せる場所 ” が必要なだけなのです。

そのために、私が大切にしているのは次の2つです。

1.心理的に安心できる環境をつくること

「上手に話せない」と感じて自信をなくしてしまうお子さんは少なくありません。
だからこそ、安心して挑戦できる環境がとても大切になります。

・どもっても大丈夫
・失敗しても笑われない
・自分のペースで話していい

こうした安心感が、話す力をゆっくりと引き出してくれます。

2.吃音のある自分を肯定できるようにすること

吃音を自覚しているお子さんには、「吃音をどう扱うか」という技術的な支援だけでなく、吃音のある自分を否定しない心の育ちも欠かせません。

「吃音を治すこと」だけがゴールではなく、吃音があっても自分には価値があると感じられるようになることが、将来の対人不安や引きこもりの予防につながります。

言語的支援と情緒的支援の両方が必要

言語的支援

・発話を助ける技術(流暢性形成法・吃音緩和法など)
・話しやすい状況を整える環境調整
・学校での合理的配慮

情緒的支援

・不安や恐れに寄り添う
・自己肯定感を育てる
・保護者の方の心理的サポート

吃音の症状が続くと、話すことへの苦手意識や不安が積み重なり、症状が強くなったり、気持ちが沈みやすくなったりすることもあります。
だからこそ、ことばとこころの両面からの支えがとても大切なのです。

子どもたちから教わったこと

●「強さ」

毎日、勇気を出して話してみようとする姿。
笑われても、次の日また挑戦しようとする姿。
その強さに、たくさんの力をもらってきました。

●「優しさ」

吃音があるからこそ育まれる、深い共感力。
相手の気持ちを想像できる優しさ。
子どもたちは、人の心に寄り添う力を自然と持っています。

●「可能性」

安心できる環境があると、信じられないほど伸びていくこと。
自己肯定感が高まると、積極的にコミュニケーションが取れるようになること。
お子さんたちの可能性は、本当に無限です。

支援者として忘れたくないこと

吃音のあるお子さんだけでなく、周囲の大人が正しい知識と理解を持つことも重要です。

私たち支援者は、

・正しい知識を持つこと
・お子さんの気持ちに寄り添うこと
・保護者の方と一緒に環境を整えること

この3つを常に心に置きながら、子どもたちと向き合っています。

子どもたちとの出会いは、私にとって大切な宝物

吃音支援に携わってきた時間は、私にとってかけがえのないものです。
子どもたちからもらった「強さ」「優しさ」「可能性」は、私自身の人生を豊かにしてくれました。

これからも、お子さん一人ひとりの成長を信じて、寄り添い続けたいと思っています。


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