読み書きの土台「ことばの力」を育てる(第4回 Part2)|家庭で今日からできる習慣【豊中市の学習支援】

では、この「ことばの力」は、どうすれば育てていけるのでしょうか?
Part2では、ご家庭で今日から始められる具体的な方法をご紹介します。

「ことばの力」は、日常の生活の中で楽しく育てていくことができます。
お子さんの興味や関心に寄り添いながら、「ことばで考える」「ことばで伝える」経験を増やしていきましょう。

ご家庭でできる工夫①

「対話的読み聞かせ」で、ことばと考える力を育てる

読み聞かせは、ただ文字を読むだけではもったいない!
研究によって効果が実証されている「対話的読み聞かせ(ダイアロジック・リーディング)」という方法があります。

これは、読みながらお子さんと会話をする読み聞かせのこと。
1980年代から研究されてきた方法で、語彙力や口頭言語能力を高める効果が確認されています。

【対話的読み聞かせの3つのレベル】

レベル1:見えるものについて話す(幼児期)

・「これなあに?」と絵を指して尋ねる
・「このウサギさん何色?」など、絵から答えられる質問
・「これは、『巣』っていうんだよ。鳥さんのおうちだね」など、新しいことばを紹介する

レベル2:お子さんの考えを引き出す(幼児後半~小学生)

・「何が起こってると思う?」など、開かれた質問をする
・「次はどうなるかな?」と予測を促す
・「もし、〇〇くん(〇〇ちゃん)だったらどうする?」と、自分の考えを聞く

レベル3:物語の構造や気持ちを理解する(小学生)

・「この子、どんな気持ちだったかな?」
・「どうして〇〇したと思う?」
・「これ、前に行った動物園みたいだね」など、体験と結びつける

【本選びのポイント】

・お子さんの興味を優先(昆虫、恐竜、乗り物、食べ物…なんでもOK)
・学年より少しやさしめの本から始める
・同じ本を繰り返し読むのも◎(繰り返すたびに、新しい発見があります)
・図書館を活用して、いろいろな本に触れる機会を

大切なのは楽しむこと

対話的読み聞かせと聞くと「質問しなきゃ!」と力が入るかもしれませんが、質問しすぎは逆効果。
お子さんが楽しめる範囲で、自然な会話を心がけてください。

読み聞かせは、親子で本の世界を楽しむ時間。
その中に少しの「会話」を加えるだけで、ことばの力が自然に育っていきます。

ご家庭でできる工夫②

音韻意識を育てる「ことば遊び」

音韻意識は、ひらがなの読み書きの土台となる力。
でも、難しく考える必要はありません。
日本に昔からあることば遊びの多くは、実は音韻意識を育てる優れた方法です。

音韻意識は、4歳頃から身につき始め、就学前の1年間(年長さんの時期)に急速に発達していきます。
発達段階に合わせて、楽しく遊びながら育てていきましょう。

ステップ1:音の数を意識する(4歳頃~)

<手拍子と一緒に>
「ね・こ」(パン・パン)→2つ
「さ・か・な」(パン・パン・パン)→3つ

👉なぜ効果的?

ことばがいくつの音でできているかに気づく、音韻意識の第一歩です。

ステップ2:しりとり(4~5歳頃~)

基本のしりとりから始めて、慣れてきたらこんなしりとりにもチャレンジ

・テーマしりとり(食べ物だけ、動物だけ)
・3文字限定しりとり
・長いことばほど高得点ルール

👉なぜ効果的?

ことばの最後の音に注目する練習になります。
これは音韻意識の基礎中の基礎。

ステップ3:音の始まりや位置に注目(5歳頃~)

・「さ」で始まることばは?(音の始まりに注目)
・「あ」がつくことば、いくつ言える?(音の位置を意識)
・「ん」で終わることばは?(音の終わりに注目)

ステップ4:音を取る(5~6歳・就学前~)

・「ぼうし」から「ぼ」を取ったら?→「うし」
・「たいこ」から「い」を取ったら?→「たこ」

👉なぜ効果的?

音を意識的に操作する力が育ちます。
これができると、ひらがなの読み書きがスムーズに。

ステップ5:音を入れる・入れ替える(年長~小学生)

<音の挿入遊び>

・「いか」に「す」を入れたら?→「すいか」
・「たこ」に「い」を入れたら?→「たいこ」

<逆さまことば>

・「ねこ」を逆から言うと?→「こね」
・「みずね」を逆から?→「ねずみ」

👉なぜ効果的?

高度な音韻操作の力。
これができると、読み書きだけでなく、ことばの感覚が豊かに育ちます。

大切なポイント

・「遊びの中で楽しく」が大原則
・できなくても、プレッシャーをかけない
・車の中、お風呂の中、待ち時間など、日常のすき間時間を活用
・正解より、一緒に考える過程を大切に

ご家庭でできる工夫③

日常会話で “ 思考のことば ” を引きだす

お子さんの興味に応答的に関わること、そして、会話のキャッチボール(やりとりの往復)が、言語発達においてとても大切です。
特別な時間を作らなくても、日常の会話の中で意識できることがあります。

【「サーブ&リターン」を意識する】

お子さんが何かを発信したとき(「あ!」と指さす、「見て!」と言う、質問するなど)、それが会話の「サーブ」。
ママ・パパがすぐにポジティブに応えるのが「リターン」です。

<例>
子ども:「あ!」(犬を指さす)
ママ・パパ:「そうだね、ワンワンだね。大きいワンワンだね」

このシンプルなやりとりこそが、ことばの土台をつくります。

【質問の工夫】

❓理由を言語化する習慣

・「どうしてそう思ったの?」
・「なんでこれが好きなの?」

❓感情を表現する語彙を増やす

・「どんなふうに感じた?」
・「うれしかった?ドキドキした?」

❓想像力と表現力を同時に育てる

・「もしも〇〇だったら?」
・「もし魔法が使えたら、何したい?」

【リキャスト(さりげない言い直し)】

間違いを直接指摘するより、正しい表現をさりげなく示す方が効果的です。

<例>
子ども:「むし、きょう、こうえん、みた!」
ママ・パパ「そっか、今日、公園で虫を見たんだね。どんな虫だった?」
✨自然な語順と助詞をモデリング

子ども:「これ、おっきい!」
ママ・パパ:「本当だ、とっても大きいね!」
✨より豊かな表現を示す

【日常の関わり方】

最後まで聞く

途中で口を挟まず、お子さんの話を最後まで聞く。
これだけで「話を聞いてもらえた」という安心感が生まれます。

共感する

「そうなんだね」「それはいやだったね」「よく気づいたね」など、お子さんの気持ちに寄り添うことばを大切に。

質問で深める

「それで?」「どんな気持ちだった?」などの質問で話を広げる。

お子さんの発話を具体的に褒める

「『わくわくした』って言えたね!気持ちがよく伝わったよ」など、具体的に褒める。

「なぜ?」「どうして?」と一緒に考える

「なんで手を洗うと思う?」「どうして歯を磨くのかな?」など、一緒に考えてみる。
一緒に考えることで、理由をことばで説明する力が育ちます。

学年別のアプローチのポイント

【幼児期~小学校低学年】

・遊びを中心とした自然なことばのやりとり
・絵本の読み聞かせ
・日常の「なぜ?」に丁寧に答える
・実体験とことばを結びつける(散歩、買い物、料理など)

【小学校中学年】

・読書習慣の定着(一人読みができるようになる時期)
・語彙日記(新しく覚えた語彙を記録する)
・家族での話し合いの時間(意見交換ができる機会をつくる)
・「今日の出来事」を順序立てて話す練習

【小学校高学年以降】

・多様なジャンルの読書(小説、伝記、科学など)
・要約や感想文(読んだ内容を整理して表現する)
・ディスカッション(自分の考えを理論的に伝える練習)
・ニュースや時事問題について家族で話す

「伝えたい!」を引き出す関わりが何より大切

どんなに素晴らしいことば遊びや読み聞かせも、お子さんが「楽しい」「伝えたい」と思えなければ、効果は半減してしまいます。
お子さんが「話したい」「伝えたい」と思える環境こそが、ことばの力を最も効果的に育てていきます。

専門的な支援を検討したいサイン

以下のような場合は、言語聴覚士や発達支援センター、学校の教育相談などへの相談も検討してみてください。

【語彙・言語理解の面で】

☐ 2歳で意味のある単語がほとんど出ない
☐ 2歳半を過ぎても2語文が出ない
☐ 3歳を過ぎても2語文が中心で、3語文がほとんど出ない
☐ 簡単な指示(「〇〇とって」「△△において」など)の理解が難しい
☐ 教科書の文章が理解できない

【音韻意識の面で】

☐ 年長(5~6歳)でしりとりができない
☐ 小学1年生で、ひらがなの読み書きに明らかな困難がある
☐ 小学校中学年になっても、促音(っ)・長音(ー)・拗音(ゃゅょ)の誤りが多い
☐ 読書が極端に苦手で、一文字ずつしか読めない

【話しことばの面で】

☐5歳を過ぎても、発音に多くの誤りがある
☐家族以外の人に話が通じないことが多い

【本人の困り感】

☐ 本人が強い困り感を示している
☐ 「どうせできない」「自分はバカだ」など、自己評価が著しく低い
☐ 学習面で極度に緊張したり、拒否したりする

気になったら早めの相談を ──「様子を見る」の本当の意味

医療機関や相談機関で「様子を見ましょう」と言われることがあります。
これは「何もしないで待つ」という意味ではありません。

積極的に関わる「様子見」が大切です。
・この記事で紹介した遊びや関わりを続ける
・お子さんの変化(できるようになったこと、まだ難しいこと)を記録する
・3~6ヵ月後に再評価する

ただ待つのではなく、関わりながら見守るのが「様子を見る」の本当の意味です。

相談先について

・言語聴覚士(ST):ことばの発達全般、読み書きの専門家
・発達相談センター・療育センター:発達全般の相談、評価、支援
・小児科・耳鼻科:聴覚の問題がないかのチェック
・学校の教育相談・特別支援教育コーディネーター:学習面での相談、校内支援
・教育センター・教育相談室:学習全般の相談

大切なのは、「早めに気づいて、早めにサポートすること」
専門家に相談することは、決して大げさなことではありません。
お子さんに合った関わり方を知ることで、親子ともに楽になることも多くあります。

「気になる」というママ・パパの感覚は、多くの場合、的を射ています。
迷ったら、まず相談してみてください。

今日から始められること

✔ 夕食時に「今日あったこと」を話す時間をつくってみませんか?
✔ お子さんが何かを指さしたり、話しかけてきたら、すぐに応える「サーブ&リターン」を意識して見ましょう。
✔ 1日1冊、短時間でも読み聞かせの時間を。
✔ 車の中や待ち時間に、「しりとり」や「連想ゲーム」を。
✔ お子さんの話を、いつもより10秒長く、最後まで聞くことを意識してみましょう。

読み書きの土台になるのは、「ことばに親しみ、使いこなす力」です。
焦らず、楽しみながらことばの引き出しを増やしていくことで、自然と「読む・書く」がラクになっていきます。
お子さんのペースを大切に、温かく見守りながら、一緒にことばの世界を広げていきましょう。


【豊中市でお家での「ことば育て」をプロが応援します】

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