ことばがつまるとき(Part1)子どもの心理と「出ない」ときの不安な心【第5回】
吃音が出るとき、子どもたちの心の中は?
吃音が出るとき、子どもたちはとても繊細な気持ちを抱えています。
「また声が出ない…どうしよう」
「今度は言えると思ったのに」
「変だと思われていないかな」
こんな不安や戸惑いを胸にしまいながら、毎日勇気を出してことばをつむいでいます。
それでも、その気持ちに気づける大人は、まだ多くはないのかもしれません。
学校生活で子どもたちが直面する困難
学校生活には、実は「声を出す」場面がたくさんあります。
【日常の中でよくある場面】
・出席の返事
・健康観察の報告
・授業中の音読
・発表やスピーチ
・グループでの話し合い
【特別な場面】
・学習発表会や劇
・入学式や卒業式での呼名
・九九の暗唱
・英語の音読やスピーキングテスト
吃音のないお子さんにとっては何気ない日常の一コマが、吃音のあるお子さんには大きなプレッシャーになっていることが少なくありません。
吃音が子どもの心に与える影響
研究でも、吃音のあるお子さんは周囲との関わりの中で不安を抱えたり、自信をなくしやすいことがわかっています。
特に気をつけたいのが、次のような「負のサイクル」です。
1.ことばがつまる
2.まわりから笑われたり、からかわれたりする
3.「吃音を出してはいけない」と意識してしまう
4.緊張が高まり、さらにことばが出にくくなる
5.話すこと自体を避けるようになる
中には、吃音を理由に、自分の力を発揮することから距離を置いてしまうお子さんもいます。
からかいやいじめのリスク
保護者の方がとても心配されるのが、吃音に対するからかいやいじめです。
吃音のあるお子さんは、成長の過程で「笑われた」「真似された」「からかわれた」といった経験をもつことが少なくありません。
そうした積み重ねが、「話すのが怖い」「もう話したくない」という思いにつながることもあります。
中には学校へ行きづらくなるケースもあります。
「安心して話せる環境」が何より大切
私は日々の支援の中で、「吃音があっても、気持ちごと受け止める」ということをとても大切にしています。
吃音は単なる「ことばの問題」ではなく、「安心できる環境があるかどうかで大きく変わる」という特徴があります。
発達に特性のあるお子さんにとっても、「心理的安全性」が学びの土台となることが指摘されています。
2016年、教育が変わった年
2016年に「障害者差別解消法」が施行され、障がいのあるお子さんが他のお子さんと同じように教育を受けられるよう、学校は必要な配慮(合理的配慮)を提供することが義務になりました。
吃音も、この法律の対象です。
つまり、保護者の方は「お願いする立場」ではなく、法律に基づいて必要な配慮を求める権利があるということです。
私が伝えたいこと
お子さんたちが本当に怖いのは、「ことばがつまること」そのものではなく、
● 笑われること
● 理解されないこと
● 避けられること
こうした“心の痛み”です。
だからこそ、私たち大人には次の3つが求められます。
1.ことばがつまっても大丈夫な環境をつくること
2.周囲の理解を深めること
3.必要な配慮をきちんと提供すること
これらは、学校だけではなく、家庭・地域・社会全体で取り組んでいくことが大切です。
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